仕事の関係でいろいろ化学の資料をあさっていたら、
バーダルのXTRに含まれているフラーレンについての記事が結構あったので、
いろいろメモがわりに今回は書いてみた(^.^)。
炭素の同素体の一つであるフラーレンは
1985年にその存在が実験的に明らかにされた。
その後10年にしてノーベル化学賞(1996年度)の受賞対象となったフラーレンは、
現在最も興味ある化学物質といえる。
グラファイト、ダイヤモンドに次ぐ第3の炭素同素体であり、
炭素原子が球状のネットワーク構造を成しているものの総称である。
60個の炭素原子がサッカーボール状に結合している。
直径は約0.7ナノメートル(1ナノは10億分の1メートル)である。
今までにフラーレン炭素は極めて特異的な
(1)電気化学的特性 (2)ガス吸蔵特性 (3)機械的特性 (4)光学的特性
を示すことが認められ、
がん治療やエイズ治療薬、燃料電池、化粧品など多彩な分野で注目を集め、
広範囲な分野の次世代を担う革新的な商品開発が急速に展開しつつある。
高温高圧化でフラーレンの結晶は「磁石」になりうることが2001年末に発見された。
つい最近までは「磁石には必ず金属原子が含まれていなければならない」
というのが定説だったが、
今では有機物、もしくは軽原子からだけでなる「分子磁石」というものも
数多く発見されている。
しかし、これらは磁石としての能力は弱く伝導性も悪いため、
実用性は期待できなかった。
ところがこのフラーレンによる磁石は伝導性もよく、
(金属よりは低いが、従来の分子磁石に比べて)磁性が強く、
将来的にはかなりの応用分野があると考えられている。
応用技術としては以下のようなものがある。
フラーレンをグラファイトの基板で挟み込むことで、
接触面の動摩擦がゼロのナノギアになるという。
これは例えれば、パチンコ玉を敷き詰めた上に板を載せるとよく滑るようなものである。
ナノレベルの超潤滑剤や、ナノベアリングとしての応用が期待される。
バーダルはオイルやグリースなどにポーラープラスとフラーレンを添加することで、
この性質を利用していると思われる。
医薬としての研究に期待(ライフサイエンス分野で注目)
フラーレンのその優れた生体活性を利用した医薬品の研究が精力的に行われている。
Radical消去能力を生かしたもの、その分子の形を利用したものなど方法は様々だが、
癌転移抑制、脳内疾患(アルツハイマー、パーキンソン病)治癒、HIV治癒、
C型肝炎治癒などの有用な研究成果が続々と報告されている。
最近の例ではアメリカの創薬ベンチャー会社が
フラーレンを使用した脳内疾患治療薬候補の大手製薬会社への
ライセンスに成功している。
フラーレンの抗エイズ薬利用
フラーレンにはHIVの増殖を抑える働きがあり、
抗エイズ薬としての利用が考えられている。
現在は、このフラーレンを使った薬を、
カナダのトロントにオフィスがあるCシックスティ(C Sixty)社が
近いうちに実用化するといわれている。